座ってできる!体の土台を安定させる足裏と足指の簡単感覚運動
体の土台、足裏と足指の感覚を意識することの重要性
私たちは普段、立ったり歩いたり座ったりと様々な姿勢をとりますが、その際に地面と接している足裏や、体のバランスを保つ足指は、非常に重要な役割を担っています。特に、体の安定性を保つためには、足裏や足指が地面から受け取る「感覚の情報」を脳が正しく認識し、それに応じて適切な体の反応を引き出すことが不可欠です。
この足裏や足指からの感覚(リハビリテーションの世界では「感覚入力」と呼ばれることもあります)が鈍くなると、地面の凹凸や体の傾きを感じ取りにくくなり、バランスを崩しやすくなるなど、体の安定性が損なわれる可能性があります。
座ってできる!足裏と足指の簡単感覚運動
ここでご紹介するのは、椅子に座ったまま、足裏や足指の感覚を意識して行うことができる簡単な運動です。立つことが難しい方や、転倒の不安がある方でも安全に取り組むことができます。足元からの感覚情報を意識的に脳に送ることで、体の安定性を高めるサポートが期待できます。
運動を行う際は、安定した椅子に深く腰かけ、背筋を軽く伸ばして行いましょう。足は床にしっかりつけられるように椅子の高さを調整してください。
運動1:足裏全体で床を感じる
- 椅子に座り、足の裏全体を床にしっかりとつけます。
- 足裏のどの部分(かかと、土踏まず、指の付け根、足指など)が床に触れているか、意識を集中してみましょう。
- 足裏全体で床を押すように、じんわりと力を入れます。強く押す必要はありません。足裏の感覚に意識を向けながら、数秒間キープします。
- 力を緩めます。
- この動作を5~10回程度繰り返します。
- ポイント: 足裏全体で地面の感触を捉えようと意識することが重要です。左右の足で感じる感覚の違いにも気づくかもしれません。
運動2:足裏の重心移動を感じる
- 椅子に座り、足裏全体を床につけた状態から始めます。
- ゆっくりとかかとを床につけたまま、つま先を持ち上げてみます。足指の付け根で床を押す感覚を感じてみましょう。
- 次に、ゆっくりとつま先を床につけたまま、かかとを持ち上げてみます。足指全体で床を押す感覚を感じてみましょう。
- かかとを上げる・つま先を上げる動作を交互に、足裏の重心が移動する感覚を意識しながら5~10回繰り返します。
- 慣れてきたら、足の親指側(内側)に少し体重を乗せてみる、小指側(外側)に少し体重を乗せてみる、といった左右の重心移動も試してみましょう。足裏全体で床を感じながら、ゆっくりと小さな範囲で行ってください。
- ポイント: 大きく動かすことよりも、足裏の様々な部分で床を感じ取ることに意識を向けます。
運動3:足指を意識して動かす
- 椅子に座り、足裏を床につけた状態、または少し浮かせた状態で行います。
- まず、足指をすべて内側に「グー」のように丸めます。足指の屈筋が働くのを感じてみましょう。
- 次に、足指をすべて外側に「パー」のように大きく広げます。足指の伸筋や外転筋が働くのを感じてみましょう。可能であれば、足指と足指の間を離すように意識します。
- 「グー」「パー」の動きをゆっくりと5~10回繰り返します。
- 可能であれば、足指を「チョキ」のように動かすことにも挑戦してみましょう。片方の足指は伸ばし、もう片方の足指は曲げるなど、指を一本一本意識して動かします。これは難しい場合もあるので、無理のない範囲で構いません。
- ポイント: 足指をしっかり動かすことで、足先の血行促進にもつながり、むくみや冷えの緩和も期待できます。
安全に行うための注意点
- ご紹介した運動は、座ったまま行うため比較的安全ですが、必ず安定した椅子を使用し、滑りにくい床で行ってください。
- 運動中に痛みやしびれを感じた場合は、すぐに中止してください。無理は禁物です。
- 呼吸を止めず、自然な呼吸を続けながら行いましょう。
- 身体機能に不安がある方や、持病をお持ちの方は、運動を始める前にかかりつけの医師や専門家にご相談ください。
- 体調の悪い日は無理せずお休みしましょう。
- 運動中は、万が一に備えて、近くに手すりや壁など掴まれるものがあるとより安心です。
運動の効果と継続のヒント
これらの足裏や足指の感覚を意識する運動は、単に筋肉を動かすだけでなく、地面からの情報を脳に伝える「感覚神経」と、脳からの指令で体を動かす「運動神経」の連携をスムーズにすることを目指しています。これにより、体の揺れや傾きに素早く反応できるようになり、バランス感覚や体の安定性向上につながることが専門家の視点からも期待されます。
継続は力です。毎日少しずつでも良いので、決まった時間に行う習慣をつけることをお勧めします。テレビを見ながら、休憩時間になど、日常生活の中に無理なく取り入れてみてください。足元からの感覚を意識することで、立つ、座る、歩くといった日々の動作がより安定し、活動的な毎日を送る一助となることを願っています。