座ってできる!全身の血行を促進し、体を温める簡単運動
はじめに
日々の生活の中で、「体が冷たい」「なんだか全身が重い」と感じることはありませんか。特にシニア世代にとって、血行が良い状態を保つことは、全身の健康維持にとても重要です。血行が促進されることで、体に必要な酸素や栄養がスムーズに運ばれ、老廃物の排出も助けられます。これにより、冷えの軽減、むくみの緩和、さらには体の動きやすさにもつながることが期待できます。
しかし、「運動は苦手」「立ち上がっての運動は少し不安がある」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。ここでは、椅子に座ったままでも安全かつ効果的に全身の血行を促進できる簡単な運動をご紹介します。リハビリテーションの考え方に基づいた、体に無理のない動きを中心にご説明しますので、ご自身のペースでぜひ取り組んでみてください。
座ってできる!全身の血行促進運動
椅子に深く腰掛け、背筋を軽く伸ばした姿勢で行いましょう。運動中に息を止めず、自然な呼吸を続けることが大切です。
1. 足首と足指の曲げ伸ばし・回し運動
この運動は、特に下半身の血行促進に効果的です。ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、足の血液を心臓に戻すポンプの役割を果たしています。足首や足指を動かすことで、このポンプ作用を助けることができます。
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方法:
- 椅子に座り、両足を床につけます。
- まず、両足のつま先をゆっくりと上に持ち上げ、かかとを床につけたまま足首を曲げます。ふくらはぎが軽く伸びるのを感じましょう。
- 次に、つま先を床に戻し、今度はかかとをゆっくりと持ち上げ、つま先立ちの状態になります。
- この「つま先上げ」と「かかと上げ」を交互に10回ほど繰り返します。
- 次に、足首を大きくゆっくりと前回し、後ろ回しをそれぞれ5回ずつ行います。
- 最後に、足指をグー・パーと力強く握ったり開いたりする動きを10回ほど繰り返します。
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期待される効果: 下肢の筋ポンプ作用の活性化、足先の冷えやむくみの軽減、足首の柔軟性向上。
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難易度調整: もし両足一緒に行うのが難しい場合は、片足ずつ行っても構いません。回数を減らしたり、動きを小さくしたりするなど、ご自身の体調に合わせて調整してください。
2. 手指と手首のグーパー・回し運動
手や腕の血行も、全身の血行に影響します。この運動は、特に腕や手先の冷え、むくみ、こわばりの軽減に役立ちます。
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方法:
- 楽な姿勢で椅子に座り、腕を前に伸ばすか、腿の上に置きます。
- まず、両手の指をぎゅっと握りこみ、「グー」の形を数秒キープします。
- 次に、指をパッと力強く開いて「パー」の形にし、数秒キープします。
- この「グー・パー」の動きを10回ほど繰り返します。
- 次に、手首を前回し、後ろ回しをそれぞれ5回ずつ行います。
- 最後に、両手を組んで手首を大きく回したり、指を一本ずつ丁寧に曲げ伸ばしたりしても良いでしょう。
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期待される効果: 上肢の血行促進、手先の冷えやむくみの軽減、手指・手首の関節可動域の維持・向上。
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難易度調整: 指がスムーズに動かない場合は、無理に力を入れず、ゆっくりとできる範囲で行ってください。片手ずつ行うのも良い方法です。
3. 腕の上げ下ろしと前後運動
肩や腕の大きな筋肉を動かすことで、上半身全体の血行を促進します。呼吸と連動させると、さらに効果的です。
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方法:
- 椅子に座り、両腕を体の横に下ろします。
- 息を吸いながら、両腕をゆっくりと体の前または横から天井に向かって上げていきます。肩に痛みを感じる場合は、無理のない高さまでにします。
- 息を吐きながら、ゆっくりと元の位置に戻します。この動きを5回ほど繰り返します。
- 次に、両腕を前に軽く伸ばし、肩甲骨を寄せるように腕を後ろに引いたり、腕を前に突き出すように肩甲骨を開いたりする動きを5回ほど繰り返します。
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期待される効果: 上半身の血行促進、肩周りの柔軟性向上、呼吸機能のサポート。
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難易度調整: 腕を高く上げるのが難しい場合は、胸の高さまででも構いません。片腕ずつ行ったり、肘を曲げて行ったりすることもできます。肩に痛みがある場合は中止してください。
4. 体幹の軽いひねり運動
体幹部を軽く動かすことで、腹部や背中の血行も促進されます。内臓機能への良い影響も期待できます。
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方法:
- 椅子に深く腰掛け、両手を胸の前で軽く組みます。
- 背筋を伸ばしたまま、息を吐きながらゆっくりと体を右にひねります。目線もひねる方向に向けましょう。
- 息を吸いながらゆっくりと元の位置に戻ります。
- 次に、息を吐きながらゆっくりと体を左にひねります。
- この左右のひねり運動を交互に5往復ほど繰り返します。
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期待される効果: 体幹部の血行促進、姿勢の維持に関わる筋肉の活性化、内臓機能のサポート。
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難易度調整: 無理に大きくひねる必要はありません。痛みを感じる場合は中止してください。両手を腿の上に置いたままでも行えます。
安全に運動するための注意点
これらの運動を行う際は、以下の点に注意してください。
- 必ず安定した、座面の高さが適切な椅子を使用してください。車椅子の方は、必ずブレーキをかけた状態で行いましょう。
- 運動の前後には、コップ一杯程度の水分を補給しましょう。
- ご紹介した回数は目安です。ご自身の体調や体力に合わせて、無理のない範囲で行ってください。
- 運動中に痛みやめまい、吐き気などを感じた場合は、すぐに運動を中止し、休憩してください。症状が続く場合は、医師にご相談ください。
- 呼吸は止めず、リラックスして行いましょう。
- 特に体幹をひねる運動など、体を大きく動かす際は、バランスを崩さないよう注意が必要です。椅子の背もたれを活用したり、壁や手すりの近くで行ったりするのも良いでしょう。
- 持病がある方や現在リハビリテーションを受けている方は、事前に医師や理学療法士などの専門家にご相談の上、行うようにしてください。
継続することが大切です
ご紹介した運動は、どれも短時間で簡単に行えるものばかりです。毎日少しずつでも続けることが、血行促進の効果を実感するためには非常に重要です。朝起きてすぐ、食後、入浴前など、ご自身のライフスタイルに合わせて、無理なく続けられる時間を見つけてみましょう。
例えば、「朝食前に足首を動かす」「テレビを見ながら手指をグーパーする」といった習慣にすることで、継続しやすくなります。ご家族や友人と一緒に行うのも励みになります。
血行が良い状態を保つことは、体の調子を整え、活動的な毎日を送るための大切な要素です。座ってできる簡単な運動から、健康な体づくりを始めてみませんか。
監修(例:理学療法士 〇〇)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為や診断に代わるものではありません。個別の症状については、必ず医師や専門家にご相談ください。