座ってできる!膝のつらさを和らげる簡単運動
膝のつらさ、座ってできる運動でやわらげましょう
膝のつらさは、立ち座りや歩行など、日常生活の様々な場面で影響を及ぼし、活動範囲を狭めてしまうことがあります。専門的な視点では、膝関節の機能維持や周辺の筋力強化、柔軟性の維持が、つらさの軽減や悪化予防に繋がると考えられています。
この解説では、椅子に座ったまま安全に行える、膝のつらさを和らげることを目的とした簡単な運動をご紹介します。身体機能に不安がある方や、ご自宅で無理なくリハビリを続けたい方も、ぜひ参考にしてみてください。
運動前の大切な準備と注意点
運動を始める前に、以下の点に注意してください。
- 安定した椅子を使用する: 背もたれがあり、座面が安定している椅子を選びましょう。車椅子の方は、フットレストに足が引っかからないように注意してください。
- 無理はしない: 痛みを感じる場合は、すぐに中止してください。運動は痛みのない範囲で行うことが大切です。
- 呼吸を止めない: 運動中は自然な呼吸を心がけましょう。息を止めると血圧が上がりやすくなります。
- 水分補給: 必要に応じて、運動前後に水分を補給しましょう。
- 体調が良い時に行う: 発熱や強い疲労感がある場合は、運動を控えてください。
座ってできる!膝のための簡単運動
ここでは、膝関節の動きや周辺の筋肉に働きかける運動をいくつかご紹介します。
1. 膝の曲げ伸ばし
膝関節の可動域を維持し、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を活性化することを目的とします。
手順:
- 椅子に深く腰かけ、足の裏を床につけます。
- 片方の足をゆっくりと前に伸ばし、膝をまっすぐにします。完全にまっすぐに伸ばすのが難しい場合は、無理のない角度で構いません。
- 伸ばした足首をゆっくりと手前に引き(反らす)、数秒間保持します。
- ゆっくりと膝を曲げ、元の位置に戻します。
- この動きを片側10回程度繰り返します。
- 反対側の足も同様に行います。
効果: 膝関節の柔軟性維持、大腿四頭筋の筋力維持・向上、血行促進。 調整: 運動中に膝に痛みを感じる場合は、完全に伸ばさずに浅い角度での曲げ伸ばしにしたり、回数を減らしたりしてください。
2. 膝のばし保持(アイソメトリック運動)
関節を大きく動かさずに筋肉に力を入れる運動(等尺性収縮)で、膝への負担を抑えながら大腿四頭筋を鍛えることができます。
手順:
- 椅子に座り、片方の膝をできる範囲でまっすぐに伸ばします。
- 太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)に力を入れ、膝をまっすぐに伸ばした状態を5秒から10秒保持します。筋肉が硬くなるのを感じましょう。
- ゆっくりと力を抜き、元の位置に戻します。
- この運動を片側5回程度繰り返します。
- 反対側の足も同様に行います。
効果: 膝関節への負担を抑えながら大腿四頭筋を強化、膝の安定性向上をサポート。 調整: 完全に膝が伸ばせない場合でも、伸ばせる範囲で太ももに力を入れる意識を持つことが大切です。保持時間は体調に合わせて短くしても構いません。
3. 腿上げ(股関節屈曲)
股関節周りの筋肉(腸腰筋など)を使い、膝を高く上げる運動です。立ち上がりの動作などにも関連が深い運動です。
手順:
- 椅子にやや浅めに腰かけ、背筋を軽く伸ばします。
- 片方の膝を曲げたまま、ゆっくりとお腹に近づけるように腿を持ち上げます。
- 上げられる一番高い位置で数秒間保持します。
- ゆっくりと足を下ろし、床につけます。
- この運動を片側10回程度繰り返します。
- 反対側の足も同様に行います。
効果: 股関節周りの筋力維持・向上、立ち上がりや歩行動作のサポート。 調整: 腿を持ち上げるのが難しい場合は、足の裏を床から少し浮かせるだけでも構いません。手で腿を持ち上げるのを軽くサポートしても良いでしょう。
4. 膝倒し(股関節・膝関節回旋)
股関節と膝関節の回旋の動きを促し、周辺の筋肉や靭帯をリラックスさせる効果が期待できます。
手順:
- 椅子に座り、両膝を立て、足の裏を床につけます。膝と膝の間、かかととかかとの間は軽く離しておきます。
- 両膝をゆっくりと片側(例:右側)に倒します。股関節と膝関節が同時に動くのを感じましょう。
- 倒しきったところで数秒間保持します。
- ゆっくりと元の位置に戻します。
- 反対側(例:左側)にも同様に倒します。
- この動きを左右交互に10回程度繰り返します。
効果: 股関節・膝関節の可動域維持、周辺筋肉のリラックス効果。 調整: 痛みがある場合は、倒す角度を小さくしてください。無理に倒しすぎないことが大切です。
運動を継続するためのヒント
これらの運動は、毎日少しずつでも継続することが大切です。特定の時間にこだわらず、テレビを見ながら、休憩中になど、生活の一部に取り入れてみましょう。
膝のつらさが強い場合や、ご自身の判断で運動することが不安な場合は、必ず医師や理学療法士などの専門家にご相談ください。専門家の指導のもと、ご自身の状態に合った運動計画を立てることが、より安全で効果的なリハビリに繋がります。
座ってできる簡単な運動を通して、膝の機能維持とつらさの軽減をめざし、活動的な毎日を送りましょう。