座ってできる!シニアフィットネス

座ってできる!いつまでも美味しく食べるための口と喉の簡単運動

Tags: 咀嚼, 嚥下, 口腔機能, シニアフィットネス, 座ってできる運動, リハビリ, 食事, 会話

いつまでも美味しく食べるために大切な「口と喉」の機能

年齢を重ねるとともに、「食事がむせやすくなった」「硬いものが食べにくくなった」「以前より声が出しにくくなった」といった変化を感じることがあるかもしれません。これらは、食べ物を噛み砕き、飲み込み、そして会話をするために重要な、口や喉周辺の筋肉や機能が少しずつ低下しているサインである可能性があります。

口や喉の機能、特に食べ物を安全に飲み込む機能は「嚥下(えんげ)」と呼ばれ、健康維持に欠かせないものです。この機能が衰えると、栄養状態の悪化を招くだけでなく、食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」のリスクを高め、肺炎などの病気につながることもあります。また、口周りの機能は発声にも関わるため、会話のしにくさにも影響します。

しかし、これらの機能は適切な運動で維持・改善を目指すことができます。専門的なリハビリテーションの視点からも、口や喉の機能を高めることは非常に重要とされています。そして、多くの場合、これらの運動は椅子に座ったままでも安全に行うことが可能です。

この記事では、座ったままできる、口と喉の機能をサポートする簡単運動をご紹介します。日々の生活の中で少しずつ取り入れて、食べる楽しみや人との会話を長く続けるための一助としていただければ幸いです。

運動を行う上での大切なポイントと注意点

運動を始める前に、いくつか大切な注意点をご確認ください。

座ってできる!口と喉の簡単運動

これからご紹介する運動は、それぞれ口や喉の様々な部分に働きかけます。一つずつ丁寧に行ってみましょう。

1. 舌の運動で食べ物を動かす力を高める

舌は、食べ物を口の中でまとめたり、喉へ送り込んだりするために非常に重要な役割を果たします。舌の筋肉を鍛えることは、食べこぼしや口の中に食べ物が残るのを防ぐことにもつながります。

運動方法:

期待される効果: 舌の筋力や柔軟性の向上。食べ物をまとめる、口の中で移動させる、喉に送り込むといった嚥下の一連の動作をスムーズにすることに役立ちます。

2. 唇と頬の運動で食べこぼしを防ぐ

唇や頬の筋肉(口輪筋や頬筋など)は、食べ物が口の外にこぼれるのを防いだり、食べ物を噛む際にサポートしたりする役割があります。これらの筋肉を鍛えることで、食事中の食べこぼしを減らし、より効率的に噛むことができるようになります。

運動方法:

期待される効果: 唇や頬の筋肉の筋力・柔軟性向上。食べこぼしの予防、咀嚼のサポート、明瞭な発声にもつながります。

3. 顎の運動で噛む力をサポート

顎の関節や周辺の筋肉の柔軟性を保つことは、しっかり食べ物を噛み砕くために重要です。大きく口を開けたり閉じたり、左右に動かしたりすることで、顎周りの機能を維持・向上させることができます。

運動方法:

期待される効果: 顎関節の動きをスムーズにし、咀嚼能力の維持・向上をサポートします。

4. 喉の運動で飲み込みをスムーズに

食べ物や飲み物を安全に飲み込むためには、喉仏がスムーズに上がる必要があります。喉の筋肉を意識して動かす練習は、嚥下機能の維持に役立ちます。

運動方法:

期待される効果: 嚥下反射の活性化、喉仏の動きのスムーズさ向上、誤嚥を防ぐための咳をする力の維持・向上。

運動を継続するために

ご紹介した運動は、一度にすべて行う必要はありません。ご自身の体調や都合に合わせて、できるものから、できる回数だけ行ってみましょう。例えば、テレビを見ながら舌の運動をしたり、休憩時間にパタカラ体操をしたりと、日々の生活の中に自然に取り入れる工夫をすることで、継続しやすくなります。

これらの運動は、口や喉の機能維持に役立つことが期待されますが、すでに嚥下機能に重度の問題がある場合や、何らかの病気がある場合は、自己判断せず、必ず医師や言語聴覚士などの専門家に相談してください。専門家は、個々の状態に合わせた適切な評価やリハビリテーションプログラムを提供してくれます。

座ってできる簡単な運動でも、コツコツと続けることで、口や喉の機能の維持につながり、いつまでも美味しく食事を楽しみ、おしゃべりをする豊かな生活を送るための一助となるでしょう。焦らず、ご自身のペースで取り組んでみてください。