座ってできる!つまづき予防のための足首・足指簡単運動
つまづきを防ぐ!足首と足指の機能維持・向上を目指しましょう
年齢とともに、歩行中のちょっとした段差やカーペットの端につまづきやすくなったと感じることはありませんか。つまづきは転倒の原因となり、その後の生活にも大きな影響を与える可能性があります。つまづきの原因は様々ですが、足首の柔軟性や足指で地面を捉える力が低下していることも、その一つと考えられています。
足首は、歩くときに地面をしっかり蹴り出し、また着地時の衝撃を和らげる重要な役割を担っています。足指は、歩行中に地面を掴むように使い、バランスを保つために働きます。これらの機能が衰えると、スムーズな歩行が難しくなり、つまずきのリスクが高まる可能性があります。
専門的な視点では、足首の背屈(つま先をすねに近づける動き)の可動域が十分でないと、歩行時に地面から足が離れにくくなり、つまづきやすくなることが指摘されています。また、足指の機能低下は、不安定な場所でのバランス保持能力にも影響します。
しかし、ご安心ください。足首や足指の機能維持・向上は、座ったままでも十分に行うことができます。無理のない範囲で継続することで、つまづきにくい、より安定した歩行を目指すことができるでしょう。
座ってできる!足首・足指の簡単運動
ここでは、椅子などに座ったまま安全に行える、足首と足指の簡単な運動をご紹介します。各運動は、呼吸を止めず、ゆっくりと丁寧に行うことが大切です。痛みを感じたらすぐに中止してください。
1. 足首の曲げ伸ばし運動
この運動は、足首の背屈と底屈(つま先を伸ばす動き)の可動域を維持・向上させることを目的としています。歩行時のつまづき予防に特に重要です。
方法:
- 椅子に深く腰かけ、両足の裏を床につけます。
- かかとを床につけたまま、ゆっくりと両方のつま先を天井方向へ引き上げます(背屈)。すねの前側の筋肉が軽く伸びるのを感じましょう。
- 次に、ゆっくりと両方のつま先を床方向へ伸ばします(底屈)。足の甲や足首の前側が軽く伸びるのを感じましょう。
- この動きをゆっくりと繰り返します。
回数: 10回程度から始め、慣れてきたら回数を増やしてみましょう。 ポイント: 勢いをつけず、足首の動きに意識を集中させます。無理につま先を高く上げようとせず、ご自身の可動域で行ってください。
2. 足首回し運動
足首全体の関節の柔軟性を高め、血行促進にもつながります。
方法:
- 椅子に座り、片方の足を軽く床から浮かせます。
- 足首を使って、つま先で大きな円を描くようにゆっくりと回します。内回しと外回し、両方向行います。
- 反対の足も同様に行います。
回数: 各方向へ5回程度から始めましょう。 ポイント: 足首の動きに意識を向け、膝や股関節はあまり動かさないようにします。
3. 足指のグー・パー運動
足指の筋肉(内在筋など)を活性化し、地面を捉える力を維持・向上させることを目的としています。バランス能力にも関わります。
方法:
- 椅子に座り、両足の裏を床につけます。
- 足指をぎゅっと丸めて「グー」の形にします。足の裏のアーチが高くなるのを感じましょう。
- 次に、足指を大きく開いて「パー」の形にします。足指の間を広げるように意識します。
- この動きをゆっくりと繰り返します。
回数: 10回程度から始めましょう。 ポイント: 足指一本一本を動かすイメージで行います。最初はうまく動かせなくても、意識して続けることが大切です。タオルを足指で手繰り寄せる「タオルギャザー」も効果的ですが、まずはこのグー・パー運動から試してみましょう。
運動を行う上での大切な注意点
- 無理のない範囲で: 痛みや強い疲労感を感じたら、すぐに運動を中止してください。
- 安定した椅子で: 背もたれがあり、安定した椅子に深く腰かけて行ってください。転倒のリスクを最小限に抑えるためです。
- 呼吸を止めない: 運動中は自然な呼吸を続けましょう。息を止めると血圧が上昇する可能性があります。
- 水分補給: 運動の前後には適度に水分を補給しましょう。
- 体調に合わせて: 体調が優れない時や、発熱などがある時は運動を控えましょう。
- 身体機能に不安がある場合: 麻痺や強い筋力低下がある場合は、無理に行わず、専門家(医師や理学療法士など)にご相談の上、適切な方法で行うことを推奨します。介助者に見守ってもらいながら行うことも安全確保につながります。
継続が力になります
これらの足首・足指の運動は、一度行っただけで劇的に機能が改善するわけではありません。大切なのは、毎日の生活の中に少しずつ取り入れ、継続することです。テレビを見ながら、休憩時間になど、気軽にできるタイミングを見つけて行ってみましょう。
継続することで、足首や足指の動きがスムーズになり、地面を捉える感覚が養われ、つまづきにくい安定した歩行につながることが期待できます。ご自身のペースで、楽しみながら続けてみてください。